ITプロジェクトに携わっていると以下のようなやり取りを良く耳にします。

テストに着手しました

テストは問題ありません
いずれもテストに関わることを示していますが、この用語のみでコミュニケーションしてしまうと認識齟齬が生じるリスクがあります。
本記事では『テスト』という用語に焦点を当て、コミュニケーションギャップが生じる理由と回避方法について解説します。
用語『テスト』の定義は?
ソフトウェアテストのグローバルコミュニティであるISTQBの加盟団体であるJSTQB(日本におけるソフトウェアテスト技術者資格認定の運営組織)の用語集によれば、
全てのライフサイクルを通じて実施する静的、動的なプロセスにおいて、成果物が特定の要件を満足するかを判定し、目的に合致することを実証し、欠陥を見つけるため、ソフトウェアプロダクトや関連成果物に対し、計画、準備、評価をすること。
JSTQBソフトウェアテスト標準用語集(日本語版)
とされています。
つまり、『テスト』という用語は、一般的にはテスト実行(=実証、評価)と解釈されていることが多いですが、実際には、テストの計画、準備、実行を包含する用語となります。
コミュニケーションのギャップポイントは?
冒頭で紹介した例について、具体的なコミュニケーションのギャップを解説します。
コミュニケーションのギャップ例①:「テストに着手しました」
・一般的な解釈:テスト実行(テストケース消化)に着手した
・正しい解釈:テスト計画、テスト設計、テスト実行のいずれかに着手した
【コミュニケーションギャップ】
テストに関わる対象プロセスに齟齬が生じる恐れあり。着手対象がテスト実行の前段階であるテスト計画、又はテスト設計なのか、テスト実行なのかに差異が生じている。
コミュニケーションのギャップ例②:「テストは問題ありません」
・一般的な解釈:テスト実行の結果、問題(バグ)は発見されなかった
・正しい解釈:テスト計画、テスト設計、テスト実行のいずれかにおいて問題(遅延や課題など)は生じていない。欠陥(バグ)は検出されている(欠陥は問題ではない)。
【コミュニケーションギャップ】
問題の対象とする事柄に齟齬が生じる可能性が大きい。問題ないことだけを鵜呑みにした場合、事象や状況を正確に把握できず、問題が顕在化した場合の影響が大きくなり、リカバリーの難易度が高くなる恐れがある。
コミュニケーションのギャップを排除するための方法は?
上記で解説した通り、ギャップの原因は、コミュケーションをする際に使用している用語を正しい定義で理解していないことです。
従って、コミュニケーションギャップを排除する方法は、テストに限ったことではありませんが、用語を正しい定義で理解した上でコミュニケーションを図ることが肝要となります。
つまり、コミュニケーションする際には、以下を心掛けるとコミュニケーションギャップの発生を抑えることが出来ます。
- コミュニケーションの目的を明確にする
⇒報告、相談、連絡、質問・問い合わせのどれになるのかを特定する - 目的を達成するために使用する用語を使用する
⇒用語の正しい定義を理解した上で目的を達成するためのコミュニケーションを行う。理解が曖昧な用語は使用せず、共通用語を使用する。 - 解釈を確認する
⇒相互コミュニケーションの場合は、相手の解釈を確認し、自分の解釈を別な言葉で伝える
解説の内容がコミュニケーション方法まで踏み込んでしまいましたが、以上のポイントに留意することでコミュニケーションギャップから生じるプロジェクト課題や問題の発生を抑止することに効果的です。

